保険診療について

当クリニックでは以下の保険診療を行っております。

外傷について

外傷、いわゆる"怪我(ケガ)"には、皮膚や皮膚の近くに生じた擦り傷や切り傷、やけど、植物などのトゲや金属片、ガラスなどの刺し傷、などがあります。傷によっては正しい処置を行わないと治りが遅くなってしまったり、傷口が化膿してしまったり、跡が残ったりしてしまう場合もあります。早めにご受診することをお勧めします。

怪我

怪我(ケガ)の種類としては、転ぶなどして皮膚の浅い部分が擦りむけてしまう「擦り傷(擦過傷)」、鋭利な刃物やガラス片などで傷がついてしまう「切り傷(切創)」、何かにぶつかるなどして皮膚が裂ける「裂挫創」、尖ったものが刺さってできる「刺し傷(刺創)」、動物に咬まれてできる「咬創」などがあります。

これらの傷で出血がみられる場合は、まず傷口を清潔にし、止血することが重要です。擦り傷などで傷口に砂利やガラス片が残っているときは、局所麻酔を行った上、ガーゼなどで丁寧に確実に除去する必要があります。咬創など、感染のリスクがあると考えられるときは、抗菌剤の服用、抗菌作用のある外用薬などが必要な場合があり、傷の状態によって処置の方法が変わりますのでそれぞれに合った方法を説明します。

やけど

やけどは熱傷とも呼ばれ、熱湯や熱い油、ストーブやコンロの熱い部分に触れてしまうなどし、皮膚が障害されてしまうものです。使い捨てカイロなどによって、低温であっても長時間接することで皮膚が障害されてしまう場合もあります。
やけどの重症度は、皮膚への障害の深さによって、Ⅰ度・Ⅱ度・Ⅲ度に分けられます。Ⅰ度は熱による障害が表皮までのもので、多くは数日で治り、跡もほとんど残りません。Ⅱ度は真皮まで達したもので、水ぶくれができます。傷を洗浄し保護する処置を行います。数週間で治るものが多いですが、同じⅡ度でもより重症の場合は、治癒までに長期間(1カ月ほど)かかる場合があります。Ⅲ度は皮下組織まで達したもので、皮膚移植をするなどの外科処置が必要になることがあります。
やけどの応急処置として重要なのは、なるべく早く冷やすことです。水道水を流して患部を冷やすようにしてください。服で覆われている部分の場合でも、直接服の上から水をかけて冷やします。また濡れたおしぼりや、保冷剤(貼り付くタイプではないもの)で冷やすのも有効です。傷の状態に応じて適切な軟膏の選択をすることで早く治りますので、早めに受診してください。

棘や釣り針などの異物

先端のとがったもので刺してしまったことにより生じる刺創は、傷口は小さくても、深くまで達している危険性があります。筋肉や腱、血管や臓器、神経等の組織が傷つけられていないか確認し、必要な措置をすることが重要になります。深く刺さっている際は、先端が残る可能性があるので抜かずに医療機関を受診するようにします。 また刺創で注意しなければならないのは、異物が体内に残ってしまうことです。釣り針の先端や木の枝、植物の棘(トゲ)、鉛筆の芯、さらには金属のさびなどが体内に残っているときは、切開して摘出することも必要になります。
浅い刺し傷では縫合などはせず、塗り薬などで治療を行います。深い刺し傷の場合、先端が汚染されていると破傷風など感染症の恐れもありますので、抗生物質や破傷風トキソイドなどを投与することもあります。

傷跡・ケロイド

傷跡として残ってしまうものには、主に「成熟瘢痕」「肥厚性瘢痕」「ケロイド」の3つの種類があります。

成熟瘢痕は、切り傷や擦り傷、手術、ニキビの跡として残るもので、当初は赤かったものが、時間の経過とともに肌色から白色へと近づいていくのが特徴です。キズが深かったり、範囲が広かったりすると、目立つ傷跡となってしまいます。

肥厚性瘢痕は、傷ができた後、しばらくたって赤いミミズ腫れのようになるもので、関節部分に近いところなど、動いて傷が引っ張られやすい所でよくみられるものです。炎症がなかなか引かない状態の傷跡で、完全に引くまでには1~5年ほどかかる場合もあります。

ケロイドは肥厚性瘢痕よりも炎症が強いもので、「ケロイド体質」の関与が大きいと考えられており、ちょっとしたキズやニキビ跡、ピアスの穴やBCG注射をした後などもケロイドとなる場合があります。

こうした傷跡の治療法としては、「保存療法」と「手術」があります。保存療法としては、薬物療法として炎症を抑制する抗アレルギー剤の内服薬、ステロイド軟膏・クリームや、非ステロイド系抗炎症剤、ヘパリン類似物質であるヒルドイドソフト軟膏などの塗り薬、ステロイドのテープなどの張り薬、またステロイドの注射、さらに引っ張られることで悪化する傾向にある肥厚性瘢痕に対し、医療用のテープやコルセットで周囲を固定する療法があります。

上記のような保存療法では改善しないときには、手術による治療を行う場合があります。ただし、ケロイドは再発しやすく、手術によって患部が拡大してしまう可能性もわずかですがあるため、縫合の仕方など注意を払い、術後もステロイドのテープを用いたり、患部を固定したりといった処置を行っていきます。

形成外科の基本の一つは、こうした傷跡を少しでもきれいにしていく、というものです。傷跡でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。

褥瘡や足潰瘍などの治りにくい傷

皮膚に欠損ができた状態を「皮膚潰瘍」と呼びます。通常の傷が数週間ほどで治癒するのに対して、それ以上かかっても治癒しない、いわゆる治りにくい潰瘍を「難治性潰瘍」と呼びます。難治性潰瘍の代表的なものとしては、褥瘡や糖尿病・血流障害に伴う下肢(足)の潰瘍などがあります。
キズが治りにくくなる原因を探り、その原因に対する治療を行うことが重要です。たとえば糖尿病では、高血糖による神経障害等で、下肢の潰瘍が治りにくくなり、最悪の場合切断に至ってしまいます。傷の治療と同時に糖尿病の治療を行うことも重要になります。当クリニックでは、専門医療機関とも連携し、治療を進めていきます。

良性/悪性皮膚腫瘍

皮膚腫瘍には良性と悪性があります。良性腫瘍としては、粉瘤、色素性母斑(ほくろ)、脂漏性角化症などがあります。また悪性腫瘍としては、悪性黒色腫(メラノーマ)、基底細胞がん、有棘細胞がん、ボーエン病、日光角化症などがあります。
症状別お悩み一覧良性腫瘍は増殖がゆるやかで、危険がないものです。悪性皮膚腫瘍はいわゆる皮膚がんのことで、発症当初はほくろと見分けがつかない場合もあります。急に大きくなった、形がいびつ、色が入り混じっている、などの場合は悪性黒色腫(メラノーマ)、基底細胞がん、有棘細胞がんなどが疑われますので、お早めにご受診ください。
悪性皮膚腫瘍が疑われる場合は、医師による視診の他、ダーモスコピーによる患部の確認、さらに必要と判断した場合は、皮膚組織の一部を採取して顕微鏡で確認する生検を行います。悪性皮膚腫瘍と診断された場合、治療法としては基本的には手術による外科的切除となります。がんの種類によっては専門的な治療を行える医療機関をご紹介いたします。

アザ 太田母斑・扁平母斑・異所性蒙古斑

「アザ」と呼ばれるものには、皮下出血と母斑のふたつがあります。皮下出血は主に打ち身などが原因で、時間の経過とともに消失し問題となることはほとんどありません。一方母斑は、主に先天性の原因により、皮膚の細胞などに異常が生じて、通常と異なる色や形が出現しているものです。

母斑では、赤、紫、青、茶、黒などの色がみられます。たとえば赤アザの場合は真皮毛細血管の拡張が、茶アザの場合は表皮メラノサイトの機能亢進が原因とされています。また青アザの場合は真皮メラノサイトの増殖と活性化が原因と考えられています。母斑の種類としては、太田母斑、扁平母斑、異所性蒙古斑などがあります。

これらのアザは多くの場合、健康上での問題はなく、基本的に治療の必要はありませんが、アザによっては保険適用でレーザー治療することが可能なものもあります。

耳瘻孔・副耳・耳介血腫・耳垂裂

形成外科では「外耳」(耳の目で見える部分)における変形の治療も行っています。外耳疾患には、先天的なもの、腫瘍、外傷によるものがあります。

先天的なもののひとつとして、「耳瘻孔」があります。これは耳介(耳の外に出ている部分)周辺に1mmほどの穴があるもので、その穴が非常に深かったり、複雑に枝分かれしたりしている場合があります。感染により化膿することもあり、その場合は手術が必要となります。予防として切除しておくこともあります。

同じく先天的なものとして「副耳」があります。これは耳の前にイボのような突起があるのが特徴で、ほとんどの場合、中には軟骨が含まれています。基本的に1歳以降に手術によって切除します。また「耳垂裂」は耳垂(耳たぶ)が分裂しているもので、縦方向または横方向あるいはその両方の場合があります。手術によって癒合する治療を行いますが、ピアスなどが原因のものに関しては、保険適用とはなりません。

先天的なもの以外としては、「耳介血種」というものがあります。これは強い衝撃を受けることにより耳介の皮膚と軟骨の間に血が溜まってしまうもので、血が固まっていない早期段階であれば、血種を除去し圧迫することで改善できます。ただ時間が経つと除去が困難になり、また血種が吸収されてしまうと、硬い凹凸の変形が残る場合があります。柔道など格闘技の選手の耳にみられる変形は、この状態のものです。

眼瞼下垂症

眼瞼下垂とは、顔を正面から見た際、瞼(まぶた)が瞳孔の上までしっかりと上げられない状態のことで、瞼が重く、特に視野の上方が狭く、見にくくなります。片側の場合と両側の場合があります。額の筋肉を使って無理に瞼を引き上げようとするため、眉毛が上がった状態になることがあります。また首を後ろに反らせて見ようとするため、肩こりや頭痛を引き起こすこともあります。

眼瞼下垂の原因としては、先天性眼瞼下垂と後天性眼瞼下垂がありますが、一般的には先天性のものが多くなっています。瞼の縁(瞼板)を引き上げる眼瞼挙筋の発達異常などが考えられており、瞼を持ち上げる力が十分にないことで発症します。

後天性のものでは、加齢やハードコンタクトレンズの長期使用、白内障手術や緑内障手術などの影響が考えられています。その場合、瞼板と眼瞼挙筋をつなぐ挙筋腱膜とミュラー筋という組織が緩んでしまうことで、うまく力が伝わらず、眼瞼下垂が生じると考えられています。

逆まつげ(睫毛内反)

逆まつげは睫毛内反とも眼瞼内反ともいい、まつげが内側を向いている、あるいは眼球にまつげが当たって角膜に傷がついている状態のことです。上瞼のまつげで起こる場合と、下瞼のまつげで起こる場合があり、目に痛みや異物感があったり、目やにが多く出ていたりする場合は、逆まつげの可能性があります。

赤ちゃんの多くは逆まつげと言われていますが、まつげが柔らいため、角膜炎等はほとんど起こりません。成長するにつれてまつげは太く硬くなりますが、それに伴って瞼の形状も変化していくため、ほとんどの逆まつげは治っていきます。

成長してもまつげの向きが改善されず、眼球にあたるようであれば、手術による治療を行います。手術は局所麻酔を用い、逆まつげの原因となっている瞼の余分な組織を減らし、まつげを外反させるもので、保険診療にて行えます。

わきが/腋窩多汗症

汗を出す汗腺にはエクリン汗腺とアポクリン汗腺があり、エクリン汗腺が多汗症の原因に、アポクリン汗腺はわきがの原因になります。

わきがの原因となるアポクリン汗腺は誰にでもあるもので、多少の臭いは発生します。しかし日本人の1割程度は「わきが体質」と呼ばれ、アポクリン汗腺からの汗が多く分泌されるため、強い臭いが発せられます。わきが体質は遺伝すると考えられていますが、性ホルモンが関係するため、幼少期にはあまり症状は見られず、思春期頃から症状が現れます。

わきがや多汗症は特に健康上の問題はありませんが、臭いの問題は学校生活や社会生活において障害になることもあり、人前で消極的になってしまったり、対人恐怖症を引き起こしてしまったりする可能性もあります。

わきが・多汗症の治療では、皮弁法という手術による治療が保険診療で行うことができます。また多汗症についても保険診療による治療があります。わきが・多汗症でお悩みの方は、お気軽に一度ご相談ください。

巻爪(陥入爪)

足の爪が過度に湾曲してしまった状態を「巻き爪」、爪が食い込み、痛みが出ている状態を「陥入爪」といいます。特に親指の爪にみられることが多く、進行すると肉に食い込んで痛みを引き起こします。原因のひとつとして、つま先のきつい靴(ハイヒールなど)や、やはりつま先を締め付ける靴下などで圧迫されることが挙げられます。一方、緩い靴を履き続けることで、長期的に爪に横から力が加わる状態になり、巻き爪となることもあります。
この他に、骨の変形や乾癬・爪白癬等の他の病気が原因となる場合もあります。その際は、その疾患に対する保険診療が可能なこともありますが、巻き爪自体の保険適用の治療もあります。
巻き爪で保険適用されるのは、フェノール法と呼ばれる手術療法で、爪が食い込んでいる部分を切除し、そこにフェノールという薬剤を塗布することで再び爪が生えないようにするものです。手術時間は30分ほどで日帰りです。 自費診療では巻き爪マイスターと呼ばれるバネの装置をつけることもあります。
治療によって巻き爪の症状が改善されても、原因となっている状況が改善されなければ再発の危険性があります。靴や靴下は、自分の足にしっかりとフィットするものを選び、足指の爪に無理な力がかからないようにすることが大切です。

ニキビ

ニキビは、「尋常性ざ瘡」という皮膚疾患の通称で、思春期から青年期の世代によくみられるものです。原因としては主に皮膚の新陳代謝のサイクルが乱れ、毛穴に詰まった皮脂を栄養源として「アクネ菌」が増殖し、炎症が引き起こされることにあります。思春期には皮脂の分泌を高める男性ホルモンの「アンドロゲン」が増加するため、発症しやすいと考えられています。

ニキビは状態によって「白ニキビ」「黒ニキビ」「赤ニキビ」「黄ニキビ」に分けられます。白ニキビは面皰(めんぽう)ともいい、毛穴に皮脂などの老廃物が溜まり。白く盛り上がって見えるものです。また黒ニキビは溜まった皮脂が空気に触れて酸化し黒くなったもので、赤ニキビは皮脂でアクネ菌が増殖し、炎症を引き起こしている状況です。さらにアクネ菌だけでなく、黄色ブドウ球菌が入り込んで増殖したものが黄ニキビです。

比較的軽症のニキビの場合、保険診療による治療が有効です。アクネ菌に対する抗生物質の外用薬(アクアチムクリーム、アクアチムローション、ダラシンゲル、ダラシンローションなど)や、毛穴のつまりを解消する外用薬(アダバレン、過酸化ベンゾイル、クリンダマイシンなど)、さらには抗生物質の内服薬などの薬による治療によって、症状の改善が望めます。この他、針などで小さな穴を開けて、ニキビの中に詰まっている膿や古い角質を排膿する治療を行う場合もあります。

ニキビは生活習慣から増悪することが多いこともあり、治療に時間がかかります。数ヶ月で、その人に合った薬剤を調整して、半年から1年ほどかけて新しくニキビができづらい肌を目指していくイメージです。治療の種類も多いので、諦めずに相談してその人に合った治療を調整していきます。